この世にオギャーと生まれて来て
やがて動き回れるようになり
意思の力が芽生え
いろんなことが一人でできるようになる。
学校に通い
思春期を迎え
青春期を迎え
大人になり
社会人となる。
世の中の荒波にもまれるようになり
お金を稼ぐことができるようになると
一人前になった気がするし
なんでもできるような気がするし
親よりも
物事をわかっているような気さえする。
ところが
日頃意識できなくとも
内側には
悲しみや怒りや悔しさや寂しさといった
外に出し損ねた古い感情が残っている。
そして
癒されていない古い記憶もある。
身体や心の痛み。
両親の諍い。
学校でのいじめ。
事故や病気。
そんな古い感情や記憶は
奥底にしまわれていて
人と深く関わったり
内側を揺さぶるような本や映画を見たりしない限り
外に出て来ることはない。
楽しいことや心地良いことをしているだけで
日々をやり過ごすことなんて
簡単にできてしまう。
ところが
親と向き合ったり
子供と向き合ったり
恋人やパートナーと向き合ったりすると
古い感情や記憶に光が当たり
奥底からそれが飛び出してくるようになる。
大切な人になぜそんなに怒りがこみ上げるの?
愛しているのになぜそんなに苛立つの?
愛されているのになぜそんなに寂しいの?
そして気がつく。
自分は井の中の蛙だったことに。
子供の頃から握りしめてきた価値観や前提のまま
何かのせいにして。
誰かのせいにして。
自分を認めていなかったことに。
常識や
特定の価値観に縛られているけれど
それは
おおいに親から影響を受けたものでしかないことに。
職場での人間関係や
パートナーシップや
大切な人との関係性の中で
その意味を
嫌というほど知ることになった時
私たちは
本当の自分を見つめ始める。
(本当に私はこう思っているのかな?)
(私は本当は何が好きなんだろう?)
(親の決めたルールの中にいたの?)
自分に問いかけ
自分と向き合い
自分を知りながら
私たちは
親の影響から解き放たれ
自分らしい自分の人生を歩み始める。
その時
私たちは
もう一度生まれ直すんです。
そうなってみて初めて
親への真の感謝の思いが溢れて来るのです。
そして愛を知る人になるのです。
ミコ